昨日、上野の森美術館で開催しているゴッホ展に行ってきました。
→開催終了しました。
今回はゴッホ展の見どころやゴッホについてのあれこれを語る記事です!

日本人好きな画家ランキングでは常に上位のゴッホ
上野の森美術館で開催されているゴッホ展。平日にも関わらずけっこうな混み具合。
私はこの日お昼12時頃に美術館に到着しましたが、チケットを購入する20分待ちの行列ができていました。
土日祝日は更に混み合うことが予想されますね。
ゴッホは日本で毎年のように展覧会が開催される、日本人にもとても人気の画家です。
以前こんなランキングを見かけました。
日本人が好きな画家ランキング
1位 ゴッホ
2位 ピカソ
3位 ルノアール
生前どの画家よりも稼いだ画家、幼い頃からめちゃくちゃ絵がうまかった生まれながらの絵描き・天才ピカソと、27歳から絵を描き始め、生前売れたのは1枚だけ、というゴッホ。
(先日のアートステージにて”売れたのが1枚説は違う”と藤ひさしさんがおっしゃっていましたが、、”と言ってもそんなに売れていないことは確か”とも)
対照的な2人がトップ2にランクイン。
作品の知名度・人気度はもちろんですが、その生き様も少なからず影響しているのかな、と思わせるランキングですね。
ゴッホは語りどころが多いですからね~
ゴッホ作品、最初期〜晩年まで40点の作品が観られる!
今回のゴッホ展では、最初期~晩年の作品まで、それぞれの時代のそれぞれの特徴を持つゴッホ作品を楽しむことができます。
ゴッホ作品の展示数は40点。(人気画家の作品を一度にこれだけ集めるのはとても大変なことみたいです!)
ゴッホは、”夜のカフェテラス”や”ひまわり”、”星月夜”、など、アルル以降の厚塗りの風景画や静物画の作品が有名ですが、この自分の絵のスタイルを築き上げるまでは試行錯誤の繰り返しでした。
画業期間は約10年程でしたが、その間に850点もの作品を生み出したゴッホ。
(月に7点以上の作品をコンスタントに描いていたなんて、すごい。
病気で療養していた期間もあるし、ハイペースな時はかなりの数を描いてたんんだろうな・・画家を志してからの人生は絵画に全てを捧げたんですね~)
そんなゴッホの画業人生を俯瞰的に全体的に捉えたラインナップです。
画風が変化していく様を堪能できます!
ハーグ派の貴重な作品が充実!印象派の作品と合わせて30点が展示
今回ゴッホ展では、オランダ・ハーグ美術館の館長であるベンノ・テンペル氏を監修に迎え、ゴッホ作品以外にもハーグ派の貴重な作品も展示され、今までのゴッホ展とは違う雰囲気の作品も集っています。
オランダのハーグ派とは・・
ハーグ派とは、”落穂拾い”で有名なミレーも属したフランスのバルビゾン派の影響を大きく受けたオランダの画家たちの集まり。
暗い曇天や悪天候を描くことを好み、くすんだ色合いを多用する傾向にあったため”灰色派”とも呼ばれています。
色彩豊かな作品が有名なゴッホですが、画家を目指した当初は暗めの色で農民の暮らしぶりなどを描いていたんですね。意外。
印象派の巨匠たちの作品も見られる!
みんな大好き(?)印象派のモネやルノワール、セザンヌ、カミーユ・ピサロ・・などなど巨匠たちの作品も展示されています。
(私は会場で実物を見て展示されていることを知ったのでかなりお得感!)
ゴッホを取り巻く人って言ったら弟のテオとゴーギャンくらいしか思いつかない・・?
といった感じで、なんとなく孤独なイメージがあるゴッホ。
こうやって交流のあった画家、影響を受けた画家たちと一緒に展示されることで、”友達いたんじゃん!”(失礼)と寂しいイメージが少し変わる気がします。
でもやっぱりアルルの家に招いた画家は誰も来てくれず、唯一一緒に暮らしたゴーギャンとの生活も2ヶ月で終了、、
美術好きの精神科医ガシェ博士との交流もあったけれど、やっぱり寂しいイメージはつきまといますね。
これは見逃せない!今回のゴッホ展目玉作品・おすすめ作品

①糸杉
チケット、フライヤー、図録・・
今回のゴッホ展の顔として選ばれている作品。
ゴッホが自分のスタイルを確立した作品です。
塗り重ねられた絵具とうねる筆致。隅々までゴッホの情熱を感じます。
ゴッホ作品でよく描かれる月が登場していますね。
月がなぜよく描かれるのか・・今でも分かっていないそうです。
これはもうゴッホしか知り得ない事象でしょう。

②薔薇
この薔薇、元は鮮やかな赤だったらしいんです。
いい絵の具を使っても経年劣化は免れないんですね・・
でもこれはこれで色合いが優しくて私はとても好きです。
物理的には色あせても芸術は色あせない。そんな作品です。
図録は糸杉とこちらの2パターンです。

③ジャガイモを食べる人々
ゴッホ初の油彩大作。
う~ん、暗い。色彩のゴッホも最初はハーグ派の農民画家としてこんな感じのものも描いていたんですね。
ハーグ美術館所蔵の貴重な作品です。

④サン=レミ療養院の庭
ゴッホが精神を病んでしまい、療養していたサン=レミの地。
テオへの手紙・・
庭で描いた僕の絵を受け取ったら、僕がここでさほど塞ぎこんでいるわけではないということが君にも伝わるだろう
その言葉通り、キャンバスの端から端まで描き込み量がものすごく生気を感じる1枚になっています。
ちなみにゴッホが物の輪郭線を描くようになったのは日本の浮世絵の影響なんですよね~。
その他にも『馬車乗り場、ハーグ』『麦畑とポピー』『麦畑』『パイプと麦わら帽子の自画像』などなど・・・
おすすめな作品がたくさんあります。
ゴッホ以外の作品もすごい!
ハーグ派 おすすめ作品

①雪の中の羊飼いと羊の群れ アントン・マウフェ
自然の壮大さ、過酷さが伝わってきますね。寒そう・・
こちらも大作ですごく迫力があったけれど同じマウフェの『4頭の曳き馬』もよかったな~
マウフェはゴッホの親戚であり絵の先生でもありました。

②出会い(仔ヤギ) マテイス・マリス
マリス3兄弟の次男、マテイス。
母親に抱かれた幼児が仔ヤギと初対面。小さめサイズで可愛らしい作品です。
印象派(+モンティセリ) おすすめ作品

①ソレントの庭 ピエール=オーギュスト・ルノワール
ハーグ派のち・・会場が急に華やぎました。そこにはルノワール作品が。
ルノワールはこの他に『髪を整える浴女』も展示されています。

②陶器壺の花 アドルフ・モンティセリ
モンティセリの絵ってなんか『親戚のおばちゃんが持ってきてくれるチョコレートの缶とかに描かれていそうでそんなに好みじゃないかも?』って思っていましたが・・
実物はまあすごい!緻密でキラキラしていて美しかった。あなた写真映り悪いのねぇ~
モンティセリは他に『ガナゴビーの岩の上の樹木』『猫と婦人(猫の食事)』『庭園の宴』の展示があります。
(モンティセリは印象派よりも少し前の画家です。ゴッホがフランスに移住後”初めて感銘を受けた画家”として紹介されています。)

③花咲く林檎の樹 クロード・モネ
なぜか懐かしい感じがするこの作品・・実家の山に似ているのかも??
モネは他に『クールブヴォワのセーヌ河岸』『ロクブリュヌから見たモンテカルロ・エスキス』の展示あり。
印象派はこのほかにも、カミーユ・ピサロ、セザンヌ、シニャック、ゴーギャン、シスレーなど有名な巨匠たちの作品が展示されています。
音声ガイドが良かったです
通常、美術館の音声ガイドでは、女性ナレーター+画家本人の役として声優さんが演じることが多いんですが、今回登場するのはゴッホ本人ではなく弟のテオ。
これはいいアイデアですね、画家の間でも有名人だったデキる画商のテオの目線から、ちょっと変わり者の画家兄フィンセントに向けてのメッセージや思いがつづられています。
ゴッホの画業人生をテオと一緒に追体験できるような音声ガイドでした。
テオを演じたのは小野賢章さん。
何度かジョルノ・ジョバァーナの顔が浮かんだのはきっと私だけではないはず・・・
このジョルノ・ジョバァーナには夢がある!
ナレーターは女優の杉咲花さん。
優しい声に癒されました〜
杉咲さんは今回のゴッホ展で印象に残った作品を聞かれ『麦畑とポピー』と答えていました。うん、間違いない。

ちなみに・・
音声ガイドや図録に書かれていることをこの記事でまとめたわけではないのでご安心くださいw念のため。
ふたりのゴッホをモチーフにした漫画がありました
『さよならソルシエ』作者は穂積さん。
穂積さんは2010年『式の前日』でデビュー。この漫画がすごいオンナ部門第2位を獲得。
”作者は何歳なの!?”と言う声がネット上で飛び交う程貫禄がある作風で、少女漫画作としては異色で大人向け・味のある作品です。
このさよならソルシエは、ゴッホ兄弟をモデルとしたフィクション作品。
この漫画ではテオがクールかつ型破りな天才画商、ゴッホは純朴な天才肌として登場。
ふたりの人生が劇的に描かれています。ふたりともかっこいいorかわいいんですよ~
ゴッホの生き様について、こんなドラマを生み出すとは・・
おもしろいので読んでみてね。
まとめ
この小さい画面じゃ良さが伝わらない・・絵画は実物を見ると良さが分かることが多々あります。
ゴッホ展は2020年1月13日まで開催。
素敵な作品たちと出会ってください!
それではまた。



行きたーい!!実物見たーい!!!
絵は好きだけど詳しくないにわか者にとって音声カイドは有難いです(笑)
うしぞうさん
ミーツーです!!
しかも人気の声優さんがガイドしてくれるんですよ~
うふふふふぅ~(キモ・・)
声優さんも芸術のうちですよ!(笑)
…ヘヘッ
うしぞうさん
素晴らしい解釈!間違いないですねww