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【小説】森見登美彦おすすめ作品をジャンル別に紹介!最初に読むならどの作品?

京都の蹴上インクライン

もしも、
『森見登美彦の小説を読んでみたいんだけど、最初に読むのはどれがおすすめ?』
と誰かに聞かれたら・・
ものすごーく答えに詰まってしまう気がします。

というのも森見登美彦さんの作品はそれぞれ系統によって好みが分かれるから。

初めて手にした作家の一冊が合わなかった場合、2冊めにも手を出す人って稀ですよね。
なので、

『この人にとってのベストをチョイスできるかどうか・・』
『いや~、この人はこっちじゃないかも・・』


森見さんファンをひとりでも増やしたい筆者としては、そんなことをあれこれ考えているうちに答えに詰まっちゃう、というわけです。

いったん森見ワールドにハマってしまえば、どれを読んでも大抵は楽しめますが、それでもファンの人でさえ、”より好きな系統”はあるはず。

今回の記事では森見登美彦さんの作品を大きくジャンル分けしておすすめを紹介しつつ、
記事の最後では
『はじめての森見登美彦作品はどれが適しているか』
を考察していきます!

うつぼん

考察・・
おおげさだな!(笑)


森見登美彦作品の系統その①
こじらせ男子大学生系


このジャンルの森見作品・・
『太陽の塔』『夜は短し歩けよ乙女』『四畳半神話大系』など

森見登美彦さんと言えばこの系統をイメージする方が多いと思います。
出世作であり代表作の『夜は短し歩けよ乙女』に加え、テレビアニメが大ヒットした『四畳半神話大系』がこちらに属しているためです。

コメディ色が強いこの系統は、四畳半のボロアパートに住むパッとしない男子大学生が主人公で、あれこれ夢想しつつ5周くらい遠回りして進んだり後退したり・・
実にヘタレキャラ、でも憎めない・・!

くだらないことや一つの小さな出来事を、あえて難しい言葉や言い回しを駆使してここまでおもしろく読ませるのは森見さんのすごいところであり、いったんハマったら抜け出すことのできない魅力があります。

また、ここまでうだうだごちゃごちゃ笑わせておきながら、結局最後は
「いい青春小説を読んだな~」
と心地のいい読後感を与えてくれるスキルはさすが!

ポニモ

この系統は
一般的によく知られる森見作品の作風
だね!

こじらせ男子大学生系で特におすすめの作品


こじらせ系おすすめ作品その①『太陽の塔』

森見さんのデビュー作ですね。
タイトルは太陽の塔ですが、舞台はやっぱり京都です。

けっこう前にフラれた女子について、あれこれ調査を続けていく・・
というものすごく未練がましい人物が主人公なんですが、かなりおもしろいです。

読者の皆さまにはぜひ、読みはじめの
”なにやら難しい書物を手にしてしまった感・・”
からの
”くだらな!でもめちゃくちゃおもしろ!!!”
に変わる様を、そしてすっきりした読後感を味わってもらいたいです。

太陽の塔を読む


こじらせ系おすすめ作品その②『夜は短し歩けよ乙女』

やっぱり代表作は安定の完成度&おもしろさ

男子大学生だけでなくヒロインの乙女サイドからの目線があるのが特徴です。
京都のとある不思議な一夜の物語。

ヒロインの魅力で言ったら森見さん作品の中で断トツ1位でしょう。

夜は短し歩けよ乙女を読む




こじらせ系おすすめ作品その③『恋文の技術』

主人公の男子大学院生が送った複数の手紙により物語が展開していく、書簡体小説。
というとちょっと変わり種なイメージを持たれるかもしれませんがノリはばっちりこじらせ系です。

事の真相が徐々に明かされ判明していく様がとてもおもしろい。
”森見登美彦さん宛て”の手紙も綴られており、ファンにはたまらない一冊でしょう。

思わずニヤッとしちゃう、森見さんのこじらせ系にハマった人の二冊目・三冊目におすすめしたい作品です。

恋文の技術を読む


森見登美彦作品その②
動物・不思議ファンタジー系


このジャンルの森見作品・・
『有頂天家族』『有頂天家族 二代目の帰朝』『ペンギン・ハイウェイ』

こちらは森見さん作品の中でも特にファンタジー色が強い系統。
ファンタジーの他、SF要素やミステリー要素も強めな印象です。

さらに『有頂天家族』では家族愛、『ペンギン・ハイウェイ』では少年の成長が描かれる感動作でもあります。

先ほどの大学生系と比べると、大きなストーリー展開があるためなのか主人公が意外とちゃんとしている(?)からなのか・・
全体の作風としては別物感が強い印象。

”夢想家ヘタレキャラ主人公”が合わなかった人に是非おすすめしたいのがこちらの系統です。

ファンタジー系統で特におすすめの作品


ファンタジー系おすすめ作品『有頂天家族』

森見登美彦たぬき三部作の一作目にあたるこちらは家族愛がテーマの『森見さん作品で一番泣ける』お話。

主人公のたぬき・矢三郎は通り名を”腐れ大学生”とし、兄弟で一番の阿呆という設定ながらも、森見さん作品の主人公としてはかなりの”できるヤツ”です。

泣ける・感動作と書きましたが、笑えるおもしろさ・あほらしさ・ハチャメチャぶりもしっかりあります。
ただし”ヘタレ的コミカル”ではなく、”たぬき的コミカル”

なんだそれ、と思うかもしれませんが読んでいただければ違いが分かります。
この違いがハマる人を分ける要素のひとつでもあります。

アナゴんず

こじらせ系が合わなかった人にはとにかく『有頂天家族』を読んでもらいたい!
イチオシの一冊!おもしろいです!

有頂天家族を読む


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森見登美彦作品その③
おふざけなしのシリアス系


この系統の森見作品・・・
『きつねのはなし』『夜行』『熱帯』

上記の2系統とはガラッと作風が変わるのがこちらのシリアス系。
おふざけ要素なしでホラー・ミステリーも少しずつありの静かでちょっとこわい作品です。

知らずに読んだ人は『森見さんってこんな系統もあるんだね』と意外に思うかもしれません。
別の作家さんと思って読んでも違和感がないくらいでしょう。

他の森見作品に比べ文体が柔らかめですっきり、ストーリー展開がスムーズで読みやすいところも特徴です。


シリアス系のおすすめ作品①『きつねのはなし』

短編4本が入った『きつねのはなし』はホラー色が強め。
背筋がゾクッとするような奇妙なお話は、京都の妖しい影の魅力を楽しむのに持ってこいな一冊。

じめっとした真夏の夜に読みたい一冊です。

ポニモ

バリバリのホラー作ではないので苦手な人でも
”怖すぎて読めない”
ということはないと思うよ~!

きつねのはなしを読む



シリアス系おすすめ作品②『夜行』

鞍馬の火祭の夜に姿を消した女性と、ある絵画の連作に関係する5つの短編で構成された『夜行』はミステリー色強め。

子どもの頃の懐かしい夢をみた後や、なんだか気分が悪い夢をみた後のような・・
不思議な余韻を味わえる魅力的な作品です。

きつねのはなしは夏、こちらは冬がよく合います。
夜行列車の旅のお供にしたい一冊ですね。
私は”津軽”がとても好き!

夜行を読む


その他


その他は短編集で系統がミックスしているものやどこにも属さないもの中からおすすめを紹介します。

短編ミックス・・『新釈 走れメロス』『宵山万華鏡』
この記事では分類不可・・『聖なる怠け者の冒険』


『新釈 走れメロス』は偉大な日本文学作品が森見登美彦さんによりアレンジされた作品。

”怒られませんか?(笑)”
と読む前はちょっと思いましたが、おもしろいうえ日本文学への愛を感じられるので大丈夫。

5篇あり、多くはこじらせ系に属しますがシリアス作品もあります。

新釈 走れメロスを読む


今回私が勝手に森見さん作品を分類した中では分けられなかったのが『聖なる怠け者の冒険』。
新聞小説連載のリメイク作品です。

主人公は大学生ではなく若者社会人、こじらせてはいるものの他作品の大学生のように夢想しているわけでもなく御託を並べるわけでもなく、ひたすらに”怠け者”。

そんな主人公を差し置いて、京都に住むちょっと変わった人たちの宵山の一日を描いたドタバタ群像劇です。

文体も読みやすく明るく楽しい!これアニメ化してほしいぃ~!
おすすめ作品です。

聖なる怠け者の冒険を読む

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森見登美彦作品・作風分布図


森見さん作品の大まかな作品の分布図を作ってみました。

森見登美彦作品・作風分布図



いかがでしょうか。ざっくりしたイメージがつかめることでしょう!

森見登美彦作品
はじめの一冊におすすめの作品は・・


そんな感じで系統別におすすめを紹介したところで、最初の話題に戻りましょう。
『森見登美彦作品はどれから読むのがおすすめか?』ですね。

普段読書をする人、活字に慣れている人なら・・
『夜は短し歩けよ乙女』
『有頂天家族』


この2作は私としては”森見登美彦作品2大傑作”と思っております。
どっちの系統か好みか・・見極めて選びましょう。

柔らかい文体が好みの人なら・・
『夜行』

普段そんなに読書をしない人なら・・
『四畳半タイムマシンブルース』
『聖なる怠け者の冒険』


けっこう攻めてみました(笑)
特に、あまり読書をしない人へのおすすめは
”最初の一冊それ~!?”
という声が聞こえてきそうですね。

ですが、読みやすさ(文体やページ数)とっつきやすさ(明るい・楽しい)を考慮したらなかなかいいチョイスじゃないかな?と思いますがいかがでしょうか。


普段あまり読書をしない人向けのおすすめ『四畳半タイムマシンブルース』は、上田誠さんの戯曲『サマータイムマシーンブルース』の森見さんアレンジバージョンです。
サマータイムマシンブルースは本広克行監督で映画化もされています。

系統はばっちり”こじらせ男子大学生系”。
お馴染みの四畳半の人物たちが登場しますが、他の作品を読んだことがなくても十分楽しめる一作です。
わちゃわちゃ感がなんとも楽しい!

これが楽しめたら『四畳半神話大系』→『太陽の塔』・・と徐々に深い森見ワールドへ進んでみましょう。

四畳半タイムマシンブルースを読む



小説をあまり読まないタイプの人はアニメから入るのもおすすめです。

また、普段アニメを見ない方・森見さんの小説しか読んだことがない方でも、森見さん原作のアニメ作品は良作しかないので、試しに視聴してみてください♪

京都・先斗町の街並み・アニメ森見登美彦おすすめタイトル画像
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おわりに


今回は森見登美彦作品について語ってみました。
あいかわらず、好きなものをおすすめするのって難しいですね~

紹介した森見さん作品はこの記事で得た印象より数倍面白いと思ってもらって大丈夫です(笑)
いろんな系統の森見作品を試してみてください!

それではまた。

ヘコアユくん

まったね~♪


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