大人の女性におすすめしたい漫画第二段。
今回のものはテレビドラマ化もしていてweb漫画も好調なのでご存じの方も多いはず。

透明なゆりかご
産婦人科医院 看護師見習い日記
解説
2014年『Kiss PLUS』にて連載開始。その後『ハツキス』へ移動。
『Kiss』本誌でも読んだことがあります。特別出張だったのかな?
既刊7巻。(2018年8月現在)
第42回講談社漫画少女部門受賞作品。
2018年にNHKで『透明なゆりかご』のタイトルでドラマ化され話題となりました。
作者の沖田さんの経歴がすごい!
作者は沖田×華さん(おきたばっかさん)
沖田さんは・・
調べていてびっくり、ドラマチックな経歴をお持ちでした。
沖田さんは複数の発達障害であることを公表しています。
幼少の頃は同級生からのいじめや教師からの体罰を受けたり、自殺未遂や風俗店での勤務の経験も。
その風俗店にあった漫画雑誌に掲載されていた漫画家、桜井トシフミさんを知り、ファンレターを通して交流するようになり、年賀状の絵を褒められ漫画家になることを勧められたそう。
そんなきっかけで漫画家デビューし、ここまで有名になっているだけでも十分劇的なのですが・・
もともとファンであった桜井さんとご結婚されていて、2019年の現在16年めの結婚生活を送っていることを先月公表されました。
んーーすごい!
桜井さんとは本当に特別な出会いだったんですね。
沖田×華、ペンネームの由来
ちなみにペンネームの由来は・・
お偉いさんにペンネームを考えてもらう予定で、約束の日に連絡したところ、その方が寝起きで不機嫌だったよう・・
『今おきたばっかなんだよ!!(怒)』と言われたところからきているそうな・・
おもしろい由来ですね。
あらすじ
高校の准看護科に通っていた作者の沖田さん。
こちらの作品は沖田さんが高校生の頃、産婦人科にて見習い看護師として勤務していた際の体験が元になっている、ノンフィクション漫画です。
まだ見習いでナースキャップを被れない沖田さんは三角巾を被り、簡単な雑務や介助をこなす日々。
そしてもうひとつ、重要な日々の業務がありました。
それは処置室にて中絶された胎児のかけらを集めて保存し、毎日回収にくる火葬の業者に引き渡すこと。
産婦人科は新しい命が生まれる場所でもあり、失われる場所でもある・・
90年代の日本の実質の死因トップはアウス(人工妊娠中絶)。
透明な保存液に浮かぶ胎児に、沖田さんはこっそり言葉をかけ子守唄を歌い、お別れをするのでした・・
また一方で、急な分娩の手伝いをすることも。
初めて目にする、命の誕生の瞬間・・
感動で号泣する沖田さん。
輝く命と透明な命
その重さはどちらも同じだと私には思えた
ここにいれば『いろんな命のあり方』を見られる
それは私にとってとても大事なことのような気がした
高校生の沖田さんが”命”と向き合っていく、感動的なストーリーです。
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おすすめポイント
実際に体験した人にしか分からないであろう、産婦人科のとても濃厚な日々のできごとが、基本的に1話に1エピソード描かれていてとても読みやすい。
本当に濃いです・・まさにあなたの知らない世界。
短いページ数で淡々と描かれていて、展開や演出も変に感情に寄せるわけではなく、お涙頂戴ものでもないのがいいですね。
沖田さんの高校時代なので、1997年と少し時代が古く、妊娠出産に関する情報が現在と違うところもありますが、現実に忠実に描かれていると思います。
(現在との相違などはその都度注意書きがあるのでむしろ勉強になります)
悲しい話もあれば、はらわたが煮えくり返るような怒りに震える話、感動的なお話や奇跡的で不思議なもあり・・
どれもとても興味深いです。
ハンカチ、ティッシュはお忘れなく。
涙なしには読めない感動ノンフィクション作品です。
私は妊娠中に読み始めたのですが、妊娠出産し、無事に我が子に会えることは当たり前ではなく本当に奇跡の連続だよな・・などいろいろと深く考えさせられました。
妊婦さんが読むにはなかなか厳しい、現実的で悲惨なお話もあるのですが・・
私は読んでよかったです。
まとめ
感動の命の誕生だけではない、産婦人科の日常を漫画で知ることができる今作。
沖田さんのゆるい絵柄がシリアスさを緩和してくれて、絶妙のバランスとなっています。
是非読んでみてください。
