アニメ有頂天家族の考察・感想・舞台になった場所や小ネタをまとめた【有頂天家族まとめ】!
今回は第一部の5・6話をまとめます。
原作でいうと『金曜倶楽部』の章にあたるこのふたつの回。
謎多き金曜倶楽部と弁天にスポットを当てた回となっています。
ミステリアスな弁天の謎をちょっとだけのぞいてみましょう!
↓前回の記事はこちらから

一部ネタバレがありますのでご注意ください。
↑どんなに考察しても理解しても原作小説にしかない魅力があるっ!!
第5話『金曜倶楽部』
第5話で季節は秋に。
五山の送り日の宵に逃げた矢三郎のその後を中心に、謎めいた弁天と金曜倶楽部の実態がほんのちょっとだけ見えてきます。
◆矢三郎が逃げた先は大阪
大阪で金光坊が趣味でやっている中古カメラ屋で店番などして逃亡生活を過ごしている矢三郎。
2か月間、大阪と京都をこそこそ行き来して弁天から逃げていました。
原作では矢三郎は宝塚帰りの母・桃仙と梅田のカフェで会いますがアニメでは京都に変わっている模様。
”息子たちが大変な時に観劇などしてちゃダメ”
ってことかも?
原作では矢四郎の働いたお金で宝塚チケット買っていることになっているので・・
そういうことかもしれません。
けっこう母親風吹かせてますね、桃仙(笑)
◆弁天の取巻き『弁天親衛隊』
弁天が引き連れている黒スーツの男たちは鞍馬山増正坊配下の鞍馬天狗たち。
弁天はよりによって師匠の赤玉先生ととっても仲が悪い鞍馬天狗たちと交流しているんですね。
そして完全に従えている・・・
第一部原作で鞍馬天狗の中で名前が出されているのはトップの”増正坊”、取り巻きの中の”帝金坊”と”霊山坊”のみです。
アニメだとどれがどれだか・・お話的にきっとそこまで重要ではないので”弁天のとりまき”と覚えておけばいいでしょう(笑)
この場所の舞台・モデル

『大丸 京都店地下』
逃亡中の矢三郎が弁天を見かけた場所。
四条通りの地下の通路で、大丸の地下はショーウィンドウが並んでいます。
◆矢三郎七変化
原作では逃亡中の矢三郎は”金光坊を模した紐ネクタイのじじい姿”だとか、”白髪鬼のような骨董蒐集家”など、いろんな人物に化けて弁天の目を逃れようとしています。
アニメでコロコロ姿が変わってしまうとわかりづらいので、ずっと”腐れ大学生姿”でいてもらって助かりますね。
この場所の舞台・モデル

矢三郎の京都での隠れ家・知り合いの骨董屋のモデルはアンティークショップ『CANDY JOY』
骨董というよりアンティークという言葉が似合うオシャレなお店ですね。
◆赤玉先生の世話は主に矢四郎がしている
矢三郎不在時、赤玉先生のお世話は弟の矢四郎が担当しています。
気弱で優しい矢四郎はわがまま放題の赤玉先生に苦労しているようですね。
◆金曜倶楽部とは
金曜倶楽部は大正時代からある秘密の会合。
月に一回金曜の夜に会食を行い、忘年会は狸鍋を食べることが習わしとされています。
金曜倶楽部は7席、それぞれ七福神の名前があだ名としてつけられています。
この回では寿老人と福禄寿が欠席、5人と矢三郎で開催されました。
・布袋(淀川教授・某大学農学部の教授)
・恵比寿(大阪を拠点とする某銀行のえらい人)
・毘沙門(岡崎のホテル『暁雲閣』の社長)←アニメでは架空のホテル名に変更されている
・大黒(老舗の京料理『千歳屋』の主人)
今回欠席の寿老人は”高利貸し”をしているとか・・・
(銭湯付きの電車を所有していたりと、寿老人は李白とイメージがかぶります)
とまあ東京で言ったら品川ナンバーの車の後部座席に乗っていそうな人たちですね。
弁天が弁天と呼ばれるようになったのは金曜倶楽部のメンバーになってからです。
ちなみに先代の弁天は”髭面の大男”だったそうな・・・
弁天様って七福神の中で紅一点、女性の神様ですからね。
今の弁天になって皆さんしっくりきたことでしょう。
◆谷崎潤一郎も金曜倶楽部のメンバーだったとか・・
新聞小説『美食倶楽部』などで知られる、明治末期から昭和中期まで活躍した文豪・谷崎潤一郎さん。
有頂天家族のお話の中では金曜倶楽部のメンバーだったとされています。
そして狸鍋を食べる決まりを作ったのも谷崎潤一郎だった、など噂されています。
森見さんは谷崎さん好きを公言していますよね。
好きな作家をこんな風に登場させるなんて・・オチャメで素敵(笑)
◆父が鍋にされたのは何年前?
→追記しました
総一郎が鍋にされたのはある年の金曜倶楽部の忘年会。
このストーリーが展開されている年の金曜倶楽部の忘年会の日は父の命日とあり、同じ日付の金曜日と考えられます。
同じ日にちが同じ曜日になるのは・・例外もありますがだいたい6年後。
なので父が亡くなってから6年くらいがたっているんじゃないのかな、と考えられますね。
追記→・・・と思っていたんですが、なんと有頂天家族2でも金曜倶楽部の忘年会と総一郎の命日が同じだったんですよ・・・!!
有頂天家族2は第一部の翌年の話ですから、そんなわけはないんだけど。
もしかしたら金曜倶楽部の忘年会は金曜日に限っていないのかもしれないけれども、、
うん、あまりツッコんで深読みするところではなかったようです(笑)
◆仇たちと鍋を囲めたのは狸だからこそ
金曜倶楽部と言えば矢三郎の父・総一郎を食べた相手。
矢三郎はそんな親の仇たちと一緒にすき焼きを食べます。
そんなあり得ないできごとも”狸だからこそ”違和感なく進んでいきます。
冷えたビールと美味しい肉・・
それは惹かれちゃいますよね~
この場所の舞台・モデル

矢三郎が天敵・金曜倶楽部と鍋を囲んだのはすき焼きや『三嶋亭』
確か原作の文中にもあったけど、店構えを見ただけでも美味しいものが食べられる雰囲気に満ちています。
◆金曜日以外の曜日の倶楽部も存在するとか・・
森見さん著『聖なる怠け者の冒険』。
この作品では金曜倶楽部以外に他の曜日の名前の倶楽部が登場します。
土曜倶楽部、水曜倶楽部・・・
金曜倶楽部という響きにいちばん怪しさ恐ろしさを感じるのはもちろん、この有頂天家族の影響でしょう。
◆弁天が切なくなったのは月のせいだけではない
矢三郎と弁天がカクテルを飲む屋上の秘密のバー・・
よくよく見ると、壁の写真?絵?は雪景色と湖のようです。
この次の第6話で出てきますが、これは弁天の出身地であり赤玉先生に連れ去られた時と同じ冬の琵琶湖の景色ですね。
弁天は月のせいだけではなくこの写真を見て切なくなっちゃったんだろうな~。
この場所の舞台・モデル

『新京極六角公園』
夜の散歩中に弁天と矢三郎がビルから見下ろした公園。
エンディングにも出てきます。
第6話『紅葉狩り』
天下無敵の弁天がセンチメンタルに陥りいつも以上に気まぐれになるお話。
丸くて大きな満月と屋上の紅葉がとても美しい回です。
淀川教授と総一郎の最初で最後の会話も描かれます。
◆弁天ってどんな人?弁天は赤玉先生にさらわれたけど・・
この作品の登場人物でいちばんの謎キャラ・弁天。
作者の森見さんですら、”よく分からない”とおっしゃっているミステリアスな人物です。
もう少し後ですがアニメではカットされたシーンで、弁天と矢三郎の会話にこんなものがあります。
弁天『誰もいない
森見登美彦 有頂天家族より
大きな湖だけがいかにも冷たい冷たい感じで見渡すかぎり広がってる
自分は本当にひとりぼっちだなあ、淋しいなあと思うのだけれど、だれもいないところを歩いてゆかずにはいられないのね』
・・・・
『毎年淋しい淋しいと思いながら見ていたものだから、淋しいことと雪景色が一緒くたになっちゃった
だから私のお腹の底はいつも冷たくて寒いのよ
詩的でしょう?』
大きな湖というのは琵琶湖で、弁天が普通の人間として暮らしていた場所。
その周辺は毎年雪がたくさん降りそこを一人で歩いていた、と弁天は言います。
有頂天家族公式読本に掲載されている短編作品『冬の女神と毛玉たち』では、なぜ弁天をさらったのか矢三郎に問われた赤玉先生は、
『・・・あの癇癪玉が儂を呼んだのだな』
と言っています。
(癇癪玉とは弁天のことをさしています)
実際はさらわれたんだけどさらわれたかったようにも受け取れる・・
弁天も望んでいた、という感覚でしょうか。
弁天は赤玉先生に連れ去られるよりも以前から何か大きな切なさを抱えていたようですね。
また、天狗への変貌ぶりだけ見てもただの人間の少女ではおさまらない特別なポテンシャルがあったことは間違いないでしょう。
弁天の謎・・
第3部でどう触れていくのか・・
楽しみですね~!
↓森見さんが弁天について語ってます「有頂天家族公式読本」
ここに載っている短編作品もいいんですよ~!
アニメにはない京都の冬が描かれています。
◆”屋上で舞妓と踊る茄子の着ぐるみ”って何?
これはアニメは特に出てきませんが、原作には弁天と矢三郎・淀川教授の夜空の散歩後のシーンで
”別のビルの最上階にあるバーで舞妓姿の女性が茄子の着ぐるみと踊っているのが見えた”
とあります。
これは先ほども紹介した『聖なる怠け者の冒険』での一コマ。
あの夜・・一方こちらはこんな夜・・
京都にはいろんな人間や狸や天狗が住んでいますね。つながる森見ワールド!
↑淀川教授もちらっと友情出演する、『聖なる怠け者の冒険』
こちらもとってもおもしろい!
まったね~♪

7・8話の記事はこちら!↓

↓聖地に行ってきました!
