劇場アニメ

【アニメ映画パプリカ】解説&感想 エンドロールの”あいつ”って誰?

アニメ・パプリカの敦子とパプリカ

”観るべき日本のアニメ”など、様々なところで紹介されている今敏監督作品。
私は今監督の作品はテレビアニメの『妄想代理人』しか見たことがなかったのですが(オタク失格・・)
今回遺作となった劇場アニメ『パプリカ』をはじめて観ました。

解説・個人的解釈・感想・小ネタなど書いていこうと思います。
”奇妙”という言葉がぴったりの不思議な作品だった~

パプリカのパンフレット

解説


アニメ・パプリカの原作は筒井康隆さんの同名長編SF作品です。


『映像化不可能』と言われた作品が、筒井さんのファンであった今監督の手により見事にアニメで表現されました。
今監督独自の解釈を取り入れつつ制作されたためオリジナル脚本が入っていたりと、そこまで原作に忠実というわけではないそうです。

・・ということは原作は原作でアニメとは違った楽しみ方ができそうですね。
私は原作未読なので読んでみます。

ちなみにバーテンダー役で今監督&筒井さんが声優参加しています
そこまで目立たないながらもいい味出してるキャラです。
見る時は注目してみてください~

主題歌


音楽は平沢進さん。
今監督は平沢さんの長年のファンだったそうで、『千年女優』で初めてタッグを組んで以降、平沢さんに音楽の担当を依頼しています。
パプリカの主題歌は『白虎野の娘』。

『白虎野』という曲が元々あり、これをパプリカの主題歌用にアレンジされたバージョンが『白虎野の娘』。歌詞もちょっと違います。

平沢さんのYOUTUBE公式チャンネルに映画バージョンがないので『白虎野』を貼ります。


Susumu Hirasawa – Byakkoya – White Tiger Field – Live Hybrid Phonon

その光、その手の動き・・・

ん~・・ツッコミたい!

私はこの曲を聞くと仕事が全くはかどらなくなります(笑)
何回も聴いちゃうから・・・好きなんです。

そしてもうひとつ紹介したい白虎野の動画があります。
2つのバージョンが左右で同時に流れてます。イヤホン推奨。
左『白虎野』右『白虎野の娘』


「白虎野」 MIX Version

公式じゃないのでそのうち消すかも。
こんなの作る技術すごいわ~

挿入歌


挿入歌も平沢進さん。
イカれたパレードのシーンで流れてます。
タイトルも『Parade』


Susumu Hirasawa – Parade – LIVE Byakkoya

今監督と平沢進さん。
どちらも理解しやすそうでいてよく分からないような・・不思議な世界観がマッチしていますね。

あらすじ

精神医療総合研究所が開発した、患者の夢に入り込み治療を行う装置「DCミニ」が盗まれ、それを悪用して悪夢を見せ精神を崩壊させる事件が相次いで発生する。

セラピストの千葉敦子(林原めぐみ)は、開発者の時田浩作(古谷徹)らと共に犯人の正体と目的、そして悪夢から抜け出す方法を探る。

夢の中で治療するセラピスト”自称夢の番人”・・実は夢のテロリストのお話です。

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個人的解釈&感想&小ネタ


ネタバレを含みますのでご注意ください

パレード・オープニングの表現がすごい!


こちらの作品はいたるところでとにかく映像がすごいことが称賛されています。
確かに・・奇妙なパレードの物や人のあの動き、相当な描き込み量ですね。

それからオープニングが楽しい!
公開は13年前ですよ。センスあるな~
近年のアニメ映画のとんでもない作画のすごさとはまた違った良さを感じました。

パプリカのパレードシーン・島寅太郎
描き込み量、動きがすごい!パレードの様子
パプリカのパレードシーン・カエルの行進

パプリカは敦子の足りない部分?憧れ? 時田曰く『スパイス』


感情を隠すクールなキャリアウーマン的な敦子と、はつらつ健康セクシー、器量の良さそうなパプリカ。
どちらもできそうな感じは共通しているけど、それ以外は全く違う・・

同一人物とは思えない違ったキャラですが、パプリカは敦子であり、夢の中でメンタル的症状のセラピーを施す人物。

原作では敦子もパプリカも人格は一緒らしいですがアニメではだいぶ変えてきてます。
私はアニメのみの視聴なので、

”もしかして、潜在意識下ではパプリカという存在は敦子の願望なのかも?
またはコンプレックスとか?”

見ながらそんなことを考えていました。
なんであれ、この対照的な人格という設定は面白かった。

パプリカがあんな風だからこそ敦子という人物の深みというか奥行きを感じます。

敦子が時田に対しての気持ちを出し始めた時にパプリカが『素直になってきた』的なことを言うのがなんともいい感じです。
敦子は感情を抑え込み過ぎて自分の本当の気持ちに気づいていないんですよね。
パプリカは気づいているのに・・

パプリカと敦子


それから敦子に好意を抱いている時田が、夢の中で敦子を飲み込んだ際に

『ややスパイスに不足 欠如はパプリカ?』

そんな感じのことを言っています。
なんかね、敦子の全てを受け入れる、時田の深い愛を感じました。
時田の敦子に対する包容力は彼の胃袋のように底知れないものがありますね。

敦子と時田

ちょっと気になった、小山内研究員と乾の関係は・・


ハンサムで一見紳士っぽい研究員の小山内研究員はできる女・敦子に嫉妬心を抱いています。
実はコンプレックスのカタマリなんだろうな~・・

そして実は乾理事長と密な繋がりをもっている様子。

小山内と乾の関係・・
アニメだとヒントとしては、小山内が敦子を襲おうとした時の乾のセリフ『私と言いうものがありながら女などに・・なんちゃら・・』ってところと、小山内が乾の『下僕』というワードでしょうか。

原作ではやはり小山内は乾の愛人という設定だそうです。
アニメだけ見た人はそれを聞いたら”おおそうかやっぱり”ってなりますね。

パプリカ小山内
かっこいい風だけどちょっと顔が長いかな
(というどうでもいい視点・笑)

 

エンドロールで出てきた”あいつ”って誰??


エンドオールにて、有名声優さんがたくさん名を連ねる中、気になる文字が・・・

『あいつ 田中秀幸』

”あいつ”とは粉川警部の高校時代の親友であり、映画仲間でもあるあの彼です。
そして”あいつ”の正体とは・・

映画製作の夢をあきらめた粉川警部が罪悪感や後悔から作りだした存在、もう一人の自分。
”あいつ”は粉川警部本人だったんですね~

最終的に”あいつ”に、粉川警部は自分の生き方を肯定され救われる・・
映画そのものを拒否していた粉川警部が、ラストはパプリカにすすめられた『夢見る子供たち』という作品を観に映画館に入っていく、そんなシーンで終わります。

(・・謎が残るのは、敦子とパプリカは同じ声優・林原めぐみさんなのに、なんで粉川警部は声変えてきたんだろう・・
年齢が違うから、ってことにしとこう)

この作品は、主人公は敦子&パプリカではあるものの、心理描写はパプリカの患者である粉川警部にスポットを当てています。
粉川警部に共感できる大人は多いんではなかろうか。

パプリカと粉川

今監督の次回作は『夢見る機械』だった


粉川警部が最後に観に行く映画のタイトルは『夢見る子供たち』でした。

そして今監督の次回作は『夢見る機械』の予定でした。
が、製作途中で今監督は亡くなってしまいました。(ちなみに『夢見る機械』のタイトルは平沢さんの楽曲名からきています)

『夢見る機械』の製作に関して・・2018年の4月記事にて。
資金難で一度ストップしたものの、2017年の完成を目指し制作は再開されましたが、結局”今監督の才能を継ぐものがいない”ということが大きな課題となり完成には至っていません、とのこと・・

”誰かが指揮を執って制作してもそれは今監督の作品ではない”という丸山プロデューサーの今監督への気持ちが尊重されているんでしょうね。

見たかった、でも世に出るのは厳しそうですね『夢見る機械』・・・

クリストファー・ノーランが影響を受けた、と公言


”人の夢に侵入する”って・・けっこう前に映画でみたような?
そうだあれだ『インセプション』


クリストファー・ノーラン監督が監督・脚本・制作をしたハリウッド映画ですね。

夢の中に入ってそのまた夢の中だったりして、”今どこ??”みたいな不思議感覚になるおもしろい作品でしたが・・・

どうやらこのパプリカのパクリ疑惑があるようで、今監督&筒井さん、ふたりとも言及されていました。

調べる限りあまり好意的ではない感じですね。そりゃそうか・・
(今監督曰く・・『パクリカ』だって。ちょっと笑っちゃいました)

一方ノーラン監督は”パプリカを観てインスピレーションを受けた”と公言しています。

悪気なさそうだなぁ・・
感覚の違いでしょうかね・・両者の埋まらない溝を感じます。
映画パプリカは”超メジャー監督に影響を与えるほどの作品”ってことですね。

まとめ


最初は考察的な記事にしようと思ったんですけど、考察や解説記事は素晴らしいものがすでにありましたので小ネタを取り入れてちょっと違った視点にしてみました。

今監督、次は何を観ようかな~♪
『東京ゴッドファーザーズ』もおもしろそう・・!

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