ディリリとパリの時間旅行
フランス/2018 94分
監督・脚本:ミッシェル・オスロ
音楽:ガブリエル・ヤレド
キャスト
ディリリ:プルネル・シャルル=アンブロン
オレル:エンゾ・ラツィト
エマ・カルヴェ:ナタリー・デセイ
吹替えキャスト
ディリリ:新津ちせ
オレロ:斎藤工
解説
フランスのアニメーションの巨匠、ミッシェル・オスロ監督。
代表作は『キリクと魔女』『アズールとアスマール』。
アンジェの美術学校、のちにフランス国立高等装飾美術学校で装飾芸術を学ぶ。
アニメーションは独学で学んだそう。
スタジオジブリがオスロ監督の作品を配給していた時期もあり、宮崎駿さん、生前の高畑勲さんとの親交も持つ。
音楽は『イングリッシュ・ペイシェント』でアカデミー賞作曲賞を受賞したガブリエル・ヤレド氏。
エマ・カルヴェ役はオペラ歌手のナタリー・デセイが演じていて、圧巻の歌声を披露しています。
あらすじ
時代は19世紀末~20世紀のパリ。華やかなベル・エポックの時代。
ニューカレドニアに住む少女ディリリは海外へのあこがれから、パリ行きの船にひとりで忍び込みます。
パリで偶然出会った配達員の青年オレル。
オレルはディリリにパリのいろいろな風景を見せてくれます。
美しい華やかなパリの街。
しかし一方で、”男性支配団”なる組織による少女誘拐事件が横行しているという、闇も抱えていました。
少女たちを救うため、ディリリとオレルはこの時代の数々の著名人たちの協力のもと、勇敢に立ち向かっていきます・・・
登場する著名人
ベル・エポック時代のパリが舞台の今作。
実在した芸術家、歌手、政治家・・数々の著名人が登場します。
モブ的な登場も含めると、その数なんと100名以上。
フランス文化マニアにはたまらないでしょう・・探すだけで楽しいはず。
私にも分かった!というくらいの露出度で登場していたのは・・
ピカソ、マティス、ルソー、モネ、ルノワール、ロートレック、プルースト、サティ、キュリー夫人、エドワード皇太子・・あとは誰だったか、、
盛りだくさん過ぎて、出会う人物の名前をメモしながらのディリリのセリフ通り・・
『パリは人が多いから名前を忘れちゃいそう』
そんな感じです。
特にロートレックは好待遇でしたね。
オスロ監督はきっと、ロートレック好き。
登場する絵画
ルソー『蛇使いの女』
マティス『赤い部屋』
ピカソ『軽業師の家族と猿』
シュザンヌ・ヴァラドン『マリー・コカとその娘』
ルノワール『田舎のダンス』
モネ『睡蓮、柳の反影』
映画だけ見てすべての作品が分かったあなた・・
絵画通ですね!
私はもちろん・・・
調べました!
ミュシャのポスター、ロートレックのムーランルージュも出てきました。
このシーンの右側の人物は彫刻家のブランクーシです。
ブランクーシの前には自身の作品、『Sleeping Muse』が置いてありますね。
ちなみにこの部屋の壁には北斎の『神奈川沖浪裏』も飾ってありました。
感想
ネタバレはありません。
オペラ座・凱旋門・ヴァンドーム広場・チュイルリー公園・アイリッシュアメリカンバー・ムーランルージュ・・・
とんでもなく美しい背景に登場するのは切り絵のような人物。
日本のアニメーションと表現が全く違う・・
というより、どのアニメーションとも違う不思議な感覚の作品でした。
背景はオスロ監督が4年間で撮りためたパリの写真を元に、CGで処理されたものなんですが、どれもこれも1枚の作品のように綺麗で見とれてしまいます。
美的感覚が磨かれていくようなイメージで観ていました。(磨かれてるといいな~)
特にラストシーンのエッフェル塔と星空は美しすぎる・・!
切り絵のような平面的な人物や、動きにはちょっと不自然なところもあるのですが、それも独特の雰囲気をかもし出していて魅力的。
ディリリがかわいいです。
上品でおしゃまさん。
幼いながらも自分なりの哲学を持っていてしっかり者。
だけどちゃんと子供らしさ、かわいさを持っている愛らしい子です。
ディリリがチーターに乗って部屋をうろうろするシーンが好きです。
(チーターって・・ペットにできるんだ・・
マイク・タイソンは虎をペットにしてたし、可能なんですね。
日本の皆さんには控えていただきたい・・w)
社会的な問題を取り扱うストーリー
子供向けのかわいいおとぎ話なのかと思いきや、社会的なメッセージ性も強く、皮肉も込められていてちょっとびっくり。
メッセージ性のあるセリフもたびたび出てきます。
心にとどめておきたい、響くものもありました。
エドワード皇太子のセリフは、オスロ監督の希望そのものな気がします。
『私の望みは多様な人々が理解し助け合うこと』
これまでの作品でも、様々な国籍の人物を分け隔てなく登場させてきたオスロ監督。
エマ・カルヴェがディリリに『ぎゅっ』を教え、終盤でもみんなで『ぎゅっ』するんですが・・
今回の作品も愛に満ちています。
吹替え版よかったです
ちなみに今回、時間の都合で吹替えで見ました。
新津ちせさんも斎藤工さんもハマってたな~
ちなみにちせちゃんってあの新海誠監督のお子様だったんですね!知りませんでした・・
そして『パプリカ』を歌うFoorinの一員でもあるという・・・
この事実を最近知ったなつやぎ。ブロガーたるものもっと情報アンテナ張らねばね~
話はそれましたが・・
おふたりの名演技により表現された、ディリリの利発さ、オレルの優しい好青年ぶりが素敵でした。
ふたりの歌声もかわいかった。
映画館で吹替え・・・人生で2回め。
1回めは姉と一緒に、パイレーツオブカリビアンの2か3を観に行きました。
どっちだったか忘れてしまった。
”ジョニーデップの吹替えしている声優が好きだから!”
という姉のリクエストにより。オタク姉妹です。
普段は字幕派ですが、字を追わないので映像により集中できますね。
バイリンガルならこの感覚で観られるんですよね。
ディリリ~は”映画鑑賞のための語学勉強をしたい”と思わせてくれる作品でした。
まとめ
アート好きな方、パリ好きな方。
映画館でタイムスリップして、ディリリとオレロと一緒にパリを巡っちゃってください。
めちゃくちゃ素敵ですよ!!
よい旅を!
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