てっきりジブリと思って観たら違った!でもめちゃくちゃ面白かったー!!
今回はアニメ映画「茄子アンダルシアの夏」「スーツケースの渡り鳥」の感想や小ネタを集めてみました。
茄子 アンダルシアの夏
2003年7月26日劇場公開
47分
茄子 スーツケースの渡り鳥
2007年10月24日OVA発売
54分
◆東京国際アニメフェア2008・第7回東京アニメアワード優秀賞OVA受賞
原作:黒田硫黄
監督:高坂希太郎
制作:マッドハウス
キャスト:大泉洋・筧利夫・小池栄子・平野稔・平田広明
山寺宏一・大塚明夫・坂本真綾
なぜに茄子?
アンダルシアの夏・スーツケースの渡り鳥・解説
一作目はヨーロッパの3大ロードレース大会の一つ・スペインの「ブエルタ・ア・エスパーニャ」が、二作目は栃木県で行われた「ジャパンカップサイクルロードレース」が舞台となっているこの作品。
「なぜに茄子?」
と疑問を持った方も多いのでは?
最初のアンダルシアの夏は「舞台が茄子の名産地?」といったところですが、スーツケースの渡り鳥では「なんで茄子?」ですよね。
こちらの映画には原作の漫画が存在します。
その名も「茄子」。
漫画家・黒田硫黄さんの短編集で3巻で完結しています。
「アンダルシアの夏」は第1巻に、「スーツケースの渡り鳥」は第3巻に掲載。
それぞれ読み切りものです。
この漫画にはどの話にも茄子が登場するという「茄子マンガの金字塔」だそうです・・
個性的で独特、味のある漫画家さんなので「茄子」もまあ、、
そういうことなんです(笑)
高坂希太郎監督ってどんな人?
ウィキペディアを参考に高坂監督を紹介します。
高校時代「未来少年コナン」に惹かれ、宮崎・高畑作品の下請けをしていたオープロダクションに入社。
数多くのジブリ作品の作画監督や原画として参加しました。
2003年初監督作品「茄子 アンダルシアの夏」で第56回カンヌ国際映画祭の監督週間に出展。
2014年作画監督を担当した「風立ちぬ」で東京アニメアワードフェスティバル2014・アニメーター賞を受賞。
2018年監督作品「若おかみは小学生!」でアヌシー国際アニメーション映画祭2018・長編コンペティション部門に出品。
現在はDLEに所属し今後は監督業に専念するそうです。
◆「YAWARA!」や「MASTERキートン」など、浦沢直樹作品のアニメ化でも作画の中心的スタッフとなり、「MONSTER」のアニメ化の際は浦沢さん自ら高坂監督をキャラクター原案に指名しました。
◆「茄子 アンダルシアの夏」は上映時間47分。
通常の映画の半分の時間のため料金も半額での上映となり話題となりました。
◆高坂監督ご自身も第3回Mt.富士ヒルクライムのアスリートクラスで3位入賞。
「アニメ業界最速の自転車乗り」として知られています。
◆高坂監督は『水曜どうでしょう』の大ファンであることから、主役ペペの声優に大泉洋さんを抜擢。
続編の“スーツケースの渡り鳥”では同番組のディレクターである藤村さんと嬉野さんもキャストとして参加しました。
◆宮崎アニメの大ファン。宮崎駿監督からは「モンチ」の愛称で呼ばれている。
”宮崎監督の一番弟子”と言われることがある(本人は否定している様子)
茄子 アンダルシアの夏
感想
なぜこんなに面白い作品を見逃していたのか・・・
ロードレースといえば、ツール・ド・フランスの映像をテレビでちょっと見たことがある程度の知識に乏しい私。
そんな私でもとても分かりやすく楽しめ、ひたすらおもしろい作品でした!
ロードレースの見どころと人間ドラマを短い時間にぎゅっと凝縮したような無駄がない傑作です。
第1作目の「アンダルシアの夏」は、主人公ぺぺの孤高の戦いを描いています。
悔し泣きの経験がある人や負けず嫌いの人・・
そんなタイプの人なら共感度も高く、響くものがあるんじゃないでしょうか。
鑑賞中に青色LEDでノーベル賞を受賞した中村修二さんの言葉がふと頭をよぎりました。
「”怒り”が原動力だった」と。
まあぺぺの場合は怒りはもちろんあるんだけど、祝福とか感謝とかその他の感情が入り混じっていますね。
気温は摂氏45度。
レース中にアシスト選手としてのスポンサーからの評価を耳にしてしまう・・
ゴール付近で生まれ故郷の地を通過・・・
そこで行われているある人物の結婚式・・・
もうね、これ以上ないくらい設定が完璧ですよね。
これで主人公に思い入れるなという方が無理~
手に汗握りながらぺぺのことを応援している私がいました。
戦いを終えたペペはきっと、失恋も兄弟の確執も乗り越えられたでしょう。
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茄子 スーツケースの渡り鳥
感想
「今日は俺たちの日だ!」
最終的にペペの単独戦となった前作でしたが、チームプレーとしてのロードレースの見どころが描かれる2作目「スーツケースの渡り鳥」は前作から4年後にOVA作品として制作されました。
今作ではペペのチームメイト、チョッチがクローズアップされています。
チョッチ!
二枚目の準主役というのはだいたいどの話でも主人公をしのぐほどの人気ぶりを見せつけるものですが、このチョッチというキャラも多分に漏れることはないでしょう。
同郷の先輩であるマルコを失い悩み葛藤しながらもレースに奮闘する・・
そしてかっこいい。
そりゃみんな好きでしょう!
”今回のヒロイン的存在のヒカルちゃんとくっついたらいいのに”
と淡い期待を抱いたりして・・
悩ましい役どころですがチョッチ役の山寺宏一さん、さすがですね~、渋い!
対照的なキャラのペペがチョッチというキャラをより引き立てていました。
う~ん、いいコンビだ。
ザンコーニは導かれた・・!
千手観音菩薩にモデルはある?
レース終盤、驚異のスピードで走り出すゴルチンコのエース・ザンコーニ。
そのままぶっちぎりゴールかと思われましたが、理解不能な謎の行動に・・
というのも、これは誰も理解できないのは当然のことでしょう。
なぜならあれはザンコーニが”答えを受け取った・悟りをひらいた”末の行動だから。
ザンコーニはレース前に千手観音菩薩を訪れています。
まるでひきこまれるようにトンネルに吸い込まれていくザンコーニ・・
住職によればこれは「呼ばれた」んだと・・。
”迷いから解放し悟りをひらかせてくれる”という千手観音菩薩像。
苦悶する者を呼び寄せるという。
きっとザンコーニはこのレースで引退したんじゃないかな。
ここはあれこれ考察せず一連の行動を不思議感覚のまま楽しむのがベストでしょう。
ザンコーニがアタックをはじめたあたりから彼の体から妖気?のような黒いモヤが出ていました。
ぞわっとするあの感じ。
日本が舞台という今作にマッチするオカルト要素でした。
BGMや効果音も、ん~SOマッチ!!
ちなみに登場した千手観音菩薩は実在します。
栃木県の宇都宮市の「大谷寺」(おおやじ)に「大谷観音」の名で鎮座しています。

石を削って作られた、日本最古の石仏なんだそう。
日本最古!これは不思議なパワーがあってもおかしくないですね。

大谷寺の入り口付近の平和観音。高さ27メートル。
ザンコーニが吸い込まれていったトンネルは存在しません。
あのトンネルはザンコーニが導かれるために開かれたものなのかも・・?
ロードレースの後っておならが出るもの??
レースの素晴らしい熱狂のあとにはペペのおならが興奮した心をなだめてくれます(笑)
激しい運動をするとエネルギーが消費がすすみ消化吸収が促進、体温の上昇もあり胃腸の腐食も進みやすく普段よりガスが多く発生するそう。
ロードレースに関わらず、スポーツの後はおならが出やすいものなんですね。
ちなみにスペインの茄子の色は・・・
関東には紫の茄子しかない(よね?)けど、世界中にはいろんな種類の茄子があるようです。
スペインの茄子はヘタから身まで緑のものが主流であり、作中で登場した「茄子のアサディジョ漬け」も小ぶりな緑色茄子でした。

いろんな種類があります
白茄子の白さ・・紫に見慣れていると衝撃的ビジュアルです。
作中ではこの緑の茄子をアサディジョ漬けにしたものが郷土の名物料理、として登場していました。
”アサディジョ”はオリーブオイル・パプリカ、クミンなどの粉末、鷹の爪、にんにくなどを混ぜた調味料?ソース?的なもの。
「茄子漬とワイン!これは法律だ!」
とバーの店主エルナンデスが豪語していた通り、ワインによく合う味わいなんだそうです。
茄子の漬物好きな方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
ワインも準備して、食べごろは漬けてから5日めですよ!
(筆者は・・・実は茄子が苦手なので作りません・・!笑)
茄子のアサディジョ漬けの作り方は漫画「茄子」の第1巻にレシピが載っています。
またはこちらの↑「ドン・キホーテの食卓」にもレシピ掲載あり。
※実際には茄子のアサディジョ漬けはアンダルシア名物ではなくスペイン中部のラ・マンチャ州の名物のようです。
それでもアンダルシアと十分近いし・・こういうのは雰囲気が大切ですからね。
