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『フルメタルジャケット』感想&小ネタ情報まとめ・キューブリック作品を観よう①

映画フルメタルジャケット

先日1987年の映画フルメタル・ジャケットをはじめて観たので感想や”へ~そうなんだ~”的なちょっとした小ネタなど書いてみたいと思います。

フルメタル・ジャケット基本情報


1987年・アメリカ/イギリス 116分
原作/グスタフ・ハスフォード『ショート・タイマーズ』

ベトナム戦争を描いたスタンリー・キューブリック監督作品。
映画の前半は主に海軍の訓練キャンプ、後半はベトナムでの戦場が描かれています。

巨匠作品は敷居が高いイメージだけど・・


スタンリー・キューブリック。言わずと知れた映画界の巨匠監督です。

このブログで映画の記事はたまに書いていますが、巨匠作品を鑑賞したり感想記事を書くってなんだか敷居が高いというか、ちょっと身構えちゃうところがあるんですが(特にオシャレ系の監督)・・・

キューブリック作品はどれもとても観やすい。
お客さんを置いてけぼりにすることなく、分かりやすいものが多いんですよね。
やや長尺作品が多めですが、どれもひき込まれる作品たちなので長さも気にならず、チャレンジしやすい、オシャレかつ観やすい作風の監督です。

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あまりにも有名なキャンプ訓練のシーン!
無理と思ったけど慣れました・・


このフルメタルジャケットですが、まず見始めて、
『あ、私映画のチョイス間違えたかも・・?』
という疑念が生まれると同時にどうしようもない拒絶反応が起こります。

というのも、冒頭から数十分間、海軍キャンプの鬼軍曹・ハートマン先任軍曹による訓練生への罵詈雑言の嵐がひっきりなしに続くから。
セリフがうるさい映画が好きじゃない私は『これはキツイな~・・』なんて思って頑張って観ていました・・が・・!

”そんな言葉よく出てくるよな”というような下品なスラングの罵りも徐々に慣れてきて、リズムもテンポもいい罵倒語にセンスすら感じはじめ、『こういうノリって日本の軍人には絶対にないよな~』なんて国民性の違いなんかに思いを巡らせたり、ハートマンも実はけっこう憎めない?というか愛ある人なのかも・・なんて思い始める始末。
最終的にはこの訓練キャンプシーンも興味深く観ることができてしまいました。慣れってすごい。

ハートマンによる厳しい身体検査



それでもレナードが他訓練生からいじめられるシーンは嫌~な気持ちになりつつ、そこからの卒業の夜の急展開は何だか見ちゃいけないものを見ちゃったような、それでも体の奥の方で認めがたい何か悪い感情が昂るような・・
とにかく惹きつけられる展開でキャンプでのシーンは終わります。

この前半だけでも短い映画を一本観終えたような濃厚さですね。

鬼教官を演じた役者は実際に米国海兵軍人だった


ハートマン軍曹を演じたのはR・リー・アーメイさんという方で、実際に海兵隊の教練指導官の経験がある人です。
演技指導のためこの作品の制作に参加したところ、あまりの迫力に周囲は圧倒され、そのまま出演することになったそうです。

いや~、すごいですね。
個人的にはですね、このお話はフィクションだけど”実際にあんな感じの訓練があったのか!?”というところに驚きです・・

もともとハートマンを演じる予定だったティム・コルセリさんは、輸送ヘリからベトナムの逃げ惑う民間人を次々射殺するドア・ガンナーの役に代えられかなり不服だったようです。
確かに出演時間は大幅カットですもんね。
でもあの狂気に満ちた役もかなりインパクトはありましたよね。

ドア・ガンナー『逃げる奴は皆ベトコンだ、逃げない奴はよく訓練されたベトコンだ』

原作にはドアガンナーはセリフはないそうです。
また、後日フルメタルジャケットの舞台ではコルセリさんは希望通りハートマン軍曹を演じたようですよ!

日本語訳をキューブリック監督自らチェック!


この訓練シーンのセリフはキューブリック監督はかなりこだわりがあり、監督自ら日本語字幕のチェックをしたという徹底ぶり。

もともと戸田奈津子さんが訳をあてましたが、スラングがマイルドな表現になっていたため監督は却下し原田眞人さんが起用されました。
監督からかなり直訳での言葉選びを要求された結果、日本人の私たちもあのようなインパクト大な言葉たちにまみれることとなったわけです。

ハートマンのセリフをどれか引用しようと思ったけど、ひどすぎて書けない・・(笑)

劇中挿入歌・訓練歌『ミリタリーケイデンス』


訓練中に歌っている歌はミリタリーケイデンスといい、実際の軍隊でランニングや行進の際に唱和される歌です。
歌詞はいろいろなパターンがあるようで、この作中でハートマンが主導で歌っていたものはまあハートマンらしく下ネタのオンパレードでしたよね。

実際の軍隊では上司の悪口を歌詞に盛り込んで訓練生たちのガス抜きの役目もあったとか。
そうかと思えばすごく残忍な内容で、不満の声が多数上がるような歌詞もあったようです。

曲調はですね、きっと私と同世代の人なら『”♪オレンジレンジを知ってるか~い”の曲だよ』と言えば伝わりやすいはず(笑)



また、1988年に発売された任天堂のゲーム『ファミコンウォーズ』のCMでもこのミリタリーケイデンスの替え歌が使われ子どもたちの間でもとても有名になりました。
このCMはフルメタルジャケットのパロディで、レナードを思わせるような人物も登場していたようです。

”フルメタルジャケット”があらわす意味は・・


フルメタルジャケット=”完全被甲弾”と日本語では表現されます。
やわらかい鉛を硬い銅などでおおった弾丸のことですね。
貫通力が高いのが特徴で、コスト面ですぐれ生産性が高く、大量に必要とされる戦争時や軍隊でよく用いられているようです。

銃に実弾を込める精神崩壊したレナード
レナードのいじめのシーンと最後のトイレのシーン
冷たく不穏な空気を感じさせる色調の演出が印象的でした



落ちこぼれ訓練生のレナードは教官から目をつけられ、他の訓練生からもいじめを受け精神に異常をきたしてしまいます。

この作品のレビューでよく見られるのが、訓練=人間を戦争の兵器にするためのもの、といった内容。
凄惨で狂気に満ちた戦場で戦える兵士を作るには、いろいろな感覚をマヒさせなければならない、そのためには戦争に向けた教育をしないといけないわけです。
兵士たちはフルメタルジャケットの弾丸のようなもの・・大量に生産し使い捨てる兵器、とみなされているということです。

レナードは心優しく繊細な青年だった。
彼だけはフルメタルジャケットの弾丸になれなかった、ということなんですね。

~弾丸豆知識~

フルメタルジャケットの弾丸

ミリタリー好きなら(そうでなくても?)常識かもしれませんが、ここで弾丸についてちょっとした知識を。
弾丸はやわらかいものとかたいもの、被弾体により多くのダメージを与えやすいのはどちらでしょうか?

”そんなの硬い方でしょ、貫通するんだし・・”
と無知の私は思っていましたが、実はやわらかい弾丸の方がダメージが大きくなりやすい、というのが正解です。

やわらかい弾丸は被弾体の中を進行する間に変形しつぶれ、ダメージの範囲が広くなります。
かたい弾丸は当たり所によっては致命傷となりますが、そのままの形で貫通するため比較的ダメージの範囲は狭くなります。

また、鉛が体に残るとのちのち鉛中毒を起こし、重大な症状が現れることもよく知られています。
戦争時は先ほど挙げたコスト面で優れたフルメタルジャケットの弾丸が多く用いられましたが、敵を無駄に痛めつけない、というのも多用された理由のひとつでもあったようです。
それから鉛がむきだしの弾丸の場合、銃口に鉛がついてしまいメンテナンスに手間がかかります。
フルメタルジャケットは銃の寿命を長くする、メンテナンスの手間も省ける、という利点もあるようです。

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反戦映画と言われることへの落胆


この作品のメッセージ的なものを考えたらこれは間違いなく反戦映画です。
が、キューブリック監督としては戦争そのものを撮りたく、反戦の意識はなかったそうなんですよね。しかも”反戦と言われるのが嫌だった”との情報も。

私は実際あまり『反戦映画』とは感じませんでしたね。
だって・・・・かっこいいしスタイリッシュなんですよ。
映像も音楽もオシャレさがにじみ出ていて、戦争映画では抱いたことのないあまり人には言えないような昂りを感じました。

特に挿入歌のThe Trashmenの『Surfin Bird』そしてエンディングのThe Rolling Stonesの『Paint It,Black(黒くぬれ!)』。


これがかっこよくなくてなんなんだって話です。
見る前は何ともなかったのに、観終わった後にはタイトルロゴの字体までかっこよく見えてきましたよ・・

ジョーカーのヘルメットとフルメタルジャケットのタイトルロゴ



この作品は反戦教育の題材としては選べないもの、と言うよりむしろ分別のない幼い若い感受性を悪い方向へ導く可能性はゼロではない・・そんなレベルだと個人的には感じます。
視覚的な刺激だけで判断するんじゃなく、こういう映画こそ規制対象なんじゃないのかな~?なんてちょっと思ったりしました。
(決して作品に対して否定的な意味ではありません)

↑Tシャツもかっこよく見えてきますね~

まとめ


今回はキューブリック監督作品の『フルメタルジャケット』の感想や小ネタ情報を綴ってきました。
もうちょっと後半の戦場についてだとか、ジョーカー・ラフターマン・カウボーイ辺りの心情についても書きたかったのですが恐ろしく長文になりそうなのでいったん締めます。
そのうち追記したいと思います!

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