先日の記事で紹介した「ジーニアスパーティー」。
短編アニメのオムニバスですが、そのタイトル通り天才たちの才能が爆発していました・・!
今回は第2段の紹介です。

Genius Party BEYOND(ジーニアスパーティ ビヨンド)
日本/2008 89分
監督:前田真宏・中澤一登・大平晋也・田中達之・森本晃司
キャスト:高之麗・中村千絵・江戸家小猫・古田新太・高田聖子・中谷さとみ・高山晃・鈴木昌子・水原薫・一条和矢・堀越知恵・佐野史郎・菅野よう子・小林顕作
解説
「鉄コン筋クリート」のSTUDIO4℃による、気鋭のクリエイターが各々作りたい作品を作るというコンセプトでオリジナルの短編作品を発表する「Genius Party」の第2弾。
参加監督は「アニマトリックス」の前田真宏、「キル・ビル」アニメパートの中澤一登、「MEMORIES」の森本晃司ら。
①GALA
監督・絵コンテ・ キャラクターデザイン・原画:前田真宏
作画監督:前田真宏・窪岡俊之
美術監督:竹田悠介
CGI監督:久保公人
音楽:伊福部昭『ピアノと管弦楽のためのリトミカ・オスティナータ』
前田真宏さん・・アニメーター・アニメ監督・漫画家。
『風の谷のナウシカ』で庵野秀明さんと共に原画に参加後、ジブリ作品の原画に携わる。
ジブリを離れた後、樋口真嗣さん・山口宏さんと共にアニメーションスタジオ”ゴンゾ”を設立。
『∀ガンダム』の”MSマヒロー”の名は彼がデザインしたことに由来しています。
アニメーターの中では珍しいほどのイケメンらしい・・(Wikipediaさんによる情報)
「ジーニアスパーティー」第2段のオープニング作品。
古代日本を彷彿とさせる神々の村に突如巨大隕石が落ちてきた・・
2006年に亡くなられた、日本を代表する作曲家・伊福部昭さんの楽曲をテーマに、壮大な生命誕生の瞬間を描いたファンタジー作品です。
植物の力強さを感じられる作画の迫力とキャッチーで親しみやすいキャラクターデザイン、遊び心を感じられる話の結末が想像を超えていて楽しい作品でした。


②MOONDRIVE
監督・絵コンテ・キャラクターデザイン・原画・作画監督:中澤一登
美術監督:西田稔
CGI監督:廣田裕介
音楽:Warsaw Village Band
中澤一登さん・・アニメ監督、アニメーター、イラストレーター、キャラクターデザイナー。
プロダクションI.Gが制作担当した映画『キル・ビル』のアニメパートの監督として名が知られる。
その他にも『シティーハンター』の動画、『HUNTER×HUNTER』など様々なアニメで原画や作画監督として携わっている。
アニメコマーシャル『ASIENCE~髪は女の命』でロンドン国際広告賞の最高賞金賞受賞しています。
月面都市を舞台に宝の地図が示す”巨人の島”を目指し「MOONDRIVE」をする非常識アニメ。
アニメっぽくないコミックス調のラフな線が興味を引かれる一作です。
一枚絵として見ただけでもとても魅力的で、くすんだオシャレカラーとポップでかわいいキャラクターはそのままステッカーにしても売れそう!
声優は古田新太さんをはじめ”劇団☆新感線”のメンバーが息の合った演技をしています。


③わんわ
監督・絵コンテ・キャラクターデザイン・作画監督・原画:大平晋也
美術監督:野崎佳津
CGI監督:鷲田智子
音楽:野崎美波
大平晋也さん・・アニメーター・アニメ監督・演出家。
従来の作画、演出の枠にとどまらない表現で業界の異端児とも言われている。
『ユンカース・カム・ヒア』『夢枕獏とわいらいと劇場』第3話”骨董屋”はカルト的作品としてマニアの間で有名。
中澤一登さん同様『キル・ビル』のアニメパートを担当。
また『おもひでぽろぽろ』以降のジブリ作品の原画も担当しています。
「わんわ」は推定年齢2歳半の男の子が主人公のファンタジー作品。
子供の絵本のようなかわいらしい絵柄でありながら色彩豊かでぶっ飛んだ夢の中のような世界観・・他にはない奇抜な作画が見もの。
ちょっとだけお話しできるくらいの主人公が我が子と通ずるものがあり、とても微笑ましかった。
このくらいの年齢の子って世界がこんな風に見えているのかも。


④陶人キット
監督・絵コンテ・キャラクターデザイン・作画監督・原画・美術:田中達之
CGI監督:石田貴史
田中達之さん・・アニメーター・アニメ監督・演出家・イラストレーター(CANNABIS名義)京都精華大学講師。
ファンだった宮崎駿さんが所属していたことを理由に”テレコム・アニメーションフィルム”に入社するも、動画ばかりで嫌になり出社拒否。
その後同居人の柳沼和良さんから『AKIRA』の原画に誘われ、それ以降様々なアニメで原画を担当、森本晃司さんとの付き合いで『音響生命体ノイズマン』以降はSTUDIO4℃を仕事の中心としています。
「陶人キット」・・外界を遮断しゆりかごの中で”何か”を育てている少女。
そこを訪ねた男は何者か・・。
独特な世界観のファンタジー。
これすごく面白い!
シリーズ通しても完成度が高くレビューの評価もひときわ良い傑作です。
背景も人物もメカも魅力的で、ジブリ・ダークバージョンって感じです。
この作品の長編が見たい!
ちなみに、ぬいぐるみから出てきた「陶虫」はなにやらごにょごにょ喋ってます。
これを逆再生すると
「あれ?どこいった?」
「へんなの」
「なんでここはこんなにきついのかな」
とセリフが聞こえます。
凝ったつくりですね・・!


⑤次元爆弾
監督・絵コンテ・作画監督・キャラクターデザイン・原画:森本晃司
美術監督:新林希文
CGI監督:草木孝幸
音楽:Juno Reactor(ジュノ・リアクター)
森本晃司さん・・アニメ監督、映像作家、ビジュアルクリエイター、アートディレクター。
京都精華大学客員教授。
『魔女の宅急便』の制作に参加し、当時スタジオジブリのラインプロディーサーだった田中栄子さんとの親交が深まり、佐藤好春さんと共に映像制作集団”STUDIO4℃”を創設。
現在はクリエイティブチーム”phy”を立ち上げ主宰している。
1996年にケンイシイ”EXTRA”のPVを監督。
斬新な映像で世界的に話題になり、ヨーロッパを中心に日本のアニメーションブームが湧きおこりハリウッド映画界にも強い影響を及ぼす程の熱狂的なファンを生み出す。
2003年、映画『マトリックス』を監督したウォシャウスキー兄弟のオファーによってアニメーション作品『アニマトリックスービヨンド』を監督、脚本。
森本さんに強い影響を受けてきたという二人のアプローチを受けての制作となった。
「時限爆弾」は今回の作品の中で一番抽象的で感覚的な作品でした。
建築物や自然など背景がとても高い技術で描かれていて圧倒されます。
一連のマトリックスのサントラを手掛けた”Juno Reactor”による音楽も心地良く、いつの間にかその世界に惹きこまれてしまいます。
また、「ジーニアスパーティー」の第一段の”BABY BLUE”で音楽を担当した作曲家の菅野よう子さんが声優初挑戦で参加しています。
そして・・
この謎の男の子?の声は・・
小林顕作さん・・??
・・・・オフロスキーだ!!
Eテレでお馴染みのあの方でした~
いろいろ活動されてるんですね、オフロスキーさ、、小林顕作さん。


まとめ
「Genius Party」は第2段も前回同様、奇抜で自由で尖った作品たちが集合していました。
こちらも10年以上前のものとは思えない・・
気になった方はぜひご覧ください!
前作の記事はこちら!
