このブログで特集してきた湯浅監督作品含むオムニバス作品「Genius Party」を観ました。
7つの短編集それぞれの感想や見どころなど1作品ずつ紹介していきます。

Genius Party(ジーニアス パーティ)
日本/2007 101分
監督:福島敦子・河森正治・木村真二・福山庸治・二村秀樹・湯浅政明・渡辺信一郎
キャスト:柳楽優弥・菊地凛子・山口智充・矢部太郎・栩原楽人・小倉久寛・三上博史・岩井七世
解説
『鉄コン筋クリート』など、先鋭的な傑作アニメを生み出してきたクリエイティブ集団“STUDIO4℃”が手がけた短編オムニバス。
渡辺信一郎、湯浅政明ら気鋭のアニメ・クリエイター7人が集結し、それぞれの個性やセンスがぶつかりあう。
史上最年少でカンヌ映画祭主演男優賞を受賞した柳楽優弥、2007年のアカデミー賞で話題をさらった菊地凛子が、声優として初共演しているのも話題だ。
①GENIUS PARTY
監督:福島敦子
音楽プロデューサー:井上薫
CGI監督:成毛久美子
福島敦子さん・・アニメーター、イラストレーター、キャラクターデザイナー、アニメ監督。
代表作は『ポポロクロイス物語』。
最近では『この世界の片隅に』の原画も担当されています。
その他多くのアニメ作品の原画やキャラクターデザインに参加。
実生活ではアニメーター森本晃司さんの奥様なんだそうです。
本作のオープニング作品「GENIUS PARTY」は鳥人間?と丸い隕石の話。
かっこよくて美しい映像作品でした。
この作品は脳内のエネルギーをイメージとしているそうです。
セリフがなく音楽のみで展開していきますが、この音楽もいいし絵もかっこいい~!
この線の感じ・・STUDIO4℃好きならきっと大好きなはず。
この7つの中で一番好みの絵でした。


②上海大竜
監督・脚本:河森正治
CGIテクニカルディレクター:八木下浩史
CGIプロデューサー:橋本トミサブロウ
音楽:中川俊郎・井筒昭雄
河森正治さん・・メカニックデザイナー、アニメ監督、演出家。
マクロスシリーズ・アクエリオンシリーズの監督を務める他、可変戦闘機(バルキリー)やサイバーフォーミュラ、アーマードコア、LFOなどのメカニックデザインも手掛けています。
世紀末の中国を舞台にした変身ヒーローもの。
迫力ある戦闘シーンとロボットや武器のデザイン性など完成度がとても高く、ロボット好きにはたまらないであろう贅沢な作品です。
ヒーローが鼻水垂らしている幼子というギャップもいい。
なんとなく『三つ目が通る』の写楽保介を思い出しました。

③デスティック・フォー
監督・キャラクターデザイン・美術:木村真二
シナリオ:高須光聖
CGI監督:坂本拓馬
音楽:山本精一
キャスト:矢部太郎・山口智充
木村真二さん・・アニメ監督、美術監督。
アニメ制作者のプライベート作品を作るために立ち上げたプロジェクト”STUDIO A10”のメンバー。
『鉄コン筋クリート』『海獣の子供』等STUDIO4℃の作品の美術監督を務める以外にもたくさんのアニメの美術・背景に携わっています。
「デスティック・フォー」はゾンビの子供が主人公のハチャメチャギャグinダークファンタジー。
エドワード・ゴーリーとかティム・バートン好きが好みそうなダークでかわいい世界観ですね。
背景や建物など細部までダークファンタジーな空気感を感じられ、とっても心惹かれました。
机をかじっている主人公の妹?が我が子に似ててほんわかしました(笑)


④ドアチャイム
監督・脚本・絵コンテ・キャラクター原案:福山庸治
キャスト:栩原楽人・岩井七世・小倉久寛
演出・キャラクターデザイン・作画監督:田中孝弘
音楽:combopiano
福山庸治さん・・漫画家。代表作『マドモアゼル モーツァルト』。
『F氏的日常』で第5回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞。
数多くの読み切りや短編作を発表しています。
アニメ制作とはほとんど無縁だった福山さん。
森本晃司さんとの出会いで今作参加に抜擢されたそうです。
男子高校生の普通の日常・・のはずが、突如もう一人の自分と出くわす・・
といった世にも奇妙な物語でありそうなお話。
この7つの作品中で話が一番おもしろかった!さすが漫画家さん。
遮断機や電柱など生真面目さを感じさせる程のザ・直線が、歪んだ話の設定とその怖さ奇妙さを絶妙にひきたて演出しています。
続きが見たい話です。

⑤LIMIT CYCLE
監督・脚本・絵コンテ・設定・原画:二村秀樹
キャスト:三上博史
動画監督:梶谷睦子
CGI監督・美術監督・色彩設計:平野弘樹
音楽:FENNESZ
二村秀樹さん・・アニメーター・演出家。
テレビ版エヴァンゲリオンやAKIRA他アニメの原画や絵コンテ等担当。
現在STUDIO4℃に所属しています。
この作品のセリフはフランスの数学・物理学者パスカルの言葉の引用で、一見バラバラに見える映像や数式も全てきちんと意味を持って作られているそう。
ってむずかしいぃ・・
この作品は7つの話の中で一番制作に時間がかかり、約4年半を要したそうです。
東京の街の撮影など、強いこだわりにより制作されました。
昼食後の昼下がり、我が子のお昼寝中に観た私は睡魔が・・
次の日再チャレンジしました。
私は『2001年宇宙の旅』を観ているととても興味があるのに眠くなるんですよ・・。
それに似た感覚です。
よほどでない限り、全てを理解しようとせず何も考えず不思議な映像と三上博史さんの心地よい声に身を任せることをおすすめします。
理解しようと考えてしまうとたちまち心地よい睡眠導入作品になりえます・・
ものっすごい芸術作品です、これ。


⑥夢みるキカイ
監督・脚本・絵コンテ・キャラクターデザイン・作画監督:湯浅政明
キャスト:水原薫・金田朋子・奥脇健一
動画監督:梶谷睦子
美術監督:勝井和子
色彩設計・CGI監督:川村晃弘
色指定:高橋和歌子
出演:武宮むつみ
音楽:竹村ノブカズ
湯浅政明さん・・アニメ監督・脚本家・ デザイナー・アニメーター。
『ちびまる子ちゃん』や『クレヨンしんちゃん』で経験を積んだ後”サイエンスSARU”を設立、『ピンポンTHE ANIMATION』など多くの意欲作を生み出しています。
(現在はサイエンスSARUを退任しフリーランス)
絶妙な線を拾ったかわいらしいキャラクターと絶妙な動き、さすが湯浅監督。
こちらの短編作はそのふたつの魅力がぎゅっとつまったかわいらしい作品でした。
クセになる中毒性あり!
↓この脚が長い乗り物、かわいい・・!
動きもいいんですよ。
そしてやっぱり人物の実写部分がありニヤっとしちゃいました。
ちなみに今敏さん、平沢進さんそれぞれの同名作品とは関係ないと思われます。


⑦BABY BLUE
監督・脚本・絵コンテ:渡辺信一郎
キャスト:柳楽優弥・菊地凛子・有村崑
キャラクターデザイン・作画監督:安彦英二
動画監督:梶谷睦子
美術監督:竹田悠介
色彩設計:鷲田智子
色指定:高橋和歌子
CGI監督:廣田裕介
音楽・ピアノ:菅野よう子
渡辺信一郎さん・・アニメ演出家・監督。
サンライズに入社、数々のアニメの絵コンテ、演出を務める。
『マクロスプラス』にて河森総監督の元監督デビュー。
『カウボーイビバップ』など多くの人気作を世に送り出す。また音楽が趣味というだけあって音響へのこだわりが強く、その音楽センスには定評があります。
7つの作品中一番万人受けしそうな爽やか青春ものでした。
見る側に優しいというか見やすい作品です。
『マクロスプラス』や『坂道のアポロン』でタッグを組んだ作曲家の菅野よう子さんがこの作品でも音楽を担当しピアノを披露しています。
また、声優は柳楽優弥さんと菊地凛子さんというなんとも豪華な組み合わせ。
こちらも注目したいところですね!


まとめ
個性豊かな才能が作り出す意欲作が出そろったオムニバス作品。
10年以上前の作品とは思えないクオリティーの高さです。
独創的な世界観のアニメが好きな人は必見!
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続編記事はこちら。

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