なつやぎブログ

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斬新アプローチの青春映画!『お嬢ちゃん』感想&舞台挨拶レポ

前々から行ってみたかったミニシアター、下高井戸シネマにて映画『お嬢ちゃん』を鑑賞してきましたので感想を綴ります。初公開は1年以上も前だったのね~

上映後に舞台挨拶もあったのでその様子もレポします。

ネタバレを含みますのでご注意ください!

 

 

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お嬢ちゃん

2018/日本 130分

 

トピック・見どころ

 

大ヒット作『カメラを止めるな!』を輩出した映画専門学校『ENBUゼミナール』のシネマプロジェクトの第8弾の一作。

『枝葉のこと』で劇場デビューした、俳優&監督の二ノ宮隆太朗監督作品。

出演者名がそのまま役名となっている。

見どころは主演の萩原みのりさん。と言ってもおかしくない作品です。

 

 

感想

 

会話で130分!?厳しいだろ〜と思ったけど

 

冒頭、浜辺の若者たちのとりとめのないどうでもいい会話が長~く続く。

『まさかこのノリで130分通すの!?大丈夫かな私・・』

尺の長い映画と多すぎる言葉にまみれるのが苦手な私は一抹の不安がよぎりました。

が、終わってみればまさかまさかのあっという間の130分。むしろまだまだ観られます!ってくらい長さを感じない作品でした。

 

それほどキャラの作り込みや言葉選びのセンスが抜群で、平坦気味なストーリーなのにも関わらず本当に一度もダレることなく最後まで集中して観ることができました。

いや~すごいです、おもしろかった!

 

キャラ作りが絶妙過ぎる!普通とクセの狭間で

 

登場人物がちょっとクセがある人ばかりなんですよ。

この”ちょっと”の加減が本当に絶妙で、 これ以上クセが強かったら見ていられないし、もっと普通っぽくてもこれまた見ていられないw

くだらないしウザいからスルーしたいのに・・させてくれない!

そんな絶妙なさじ加減で作られたキャラクターたちがいっぱいでした。

それぞれのキャラが立っていて無駄なキャラも被るキャラひとりもいない、分かりやすさもよかったです。

 

人物たちの人柄や関係性を想像させるうまさ

 

ほんのちょっとの登場だけで人物の人間性や関係性について想像力を掻き立てられました。

例えばこのちょっとヤンチャそうな雰囲気の男性3人組。

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『みのりちゃんに突如キレられて怒りが収まらない真ん中の伊藤くん。

自制心が弱くキレたらあぶない人??酔っぱらうと特にひどいな・・

でも左の寺林くんがなだめるんだね、体験談も交えて、うまいなぁ。寺林くんは右の金髪の廣瀬くんが前に合コンに誘われていなかったこともさりげなくフォローを入れてたし、世渡り上手というか立ち回りがうまい器用さんなんだろうな~・・

廣瀬くんはそんなあれこれを気にする風でもなく、ちょっと天然でいい人そう。ふたりを立てる姿勢もあって、この中では立場は低めなのね。

この人たちはいつもこんなバランスでこうやってつるんでるんだろうな~』

 

・・みたいなことを観ている側に想像させてくれるんです。

でも本心では、『本当は私こんなチャラい感じの人たち興味ないのに!ちょっと悔しいゾ・・』なんですけどね。

これが最初に言った『スルーさせてくれない』の詳細です。

見事うまくハメられましたww

 

 

みのりという存在

 

みのりちゃん。めちゃくちゃ鮮やかな存在感を放つヒロインでした。

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おそらくみのりちゃんの印象は見る人によって様々でしょうね。

いろんなところのレビューで『強くてかっこいい』という言葉を見かけたけど、私は真逆かも。

 

みのりちゃんは私にはとても儚くて繊細でそれゆえに尖っている子に見えました。

あとすごくマジメで熱いハートの持ち主ですね。ついでに不器用でもある。

こういうタイプの美人ってちょっと見た感じの印象としてはクールとか冷たそう、冷めている、スカしている感じに取られやすいんですけど、みのりちゃんはいつでも本気。

誰を相手にしても自分の価値観を基準にクリアな視線で向き合う。常にどこか好戦的。

 

ほんの些細な言葉のひとつにまでいつも本気で向き合い、気を抜くポイントを知らないから鬱積した感情はある時バッと溢れてしまう。

弱さもかっこわるさもある、とても素直で美しい人だなって思いました。美しいというのはもちろん容姿的なことではありません。もちろん見た目も美しいけど。

あの涙は誰にでも流せるもんじゃないですよ。

あ、あと自分でも言ってたけどめんどくさい子だねw言葉遣いも悪い。

 

ここまで魅力に溢れた強烈なヒロインはなかなかお目にかかれませんね。

 

 

みのりと理恵子の関係

 

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実はみのりちゃんの方が理恵子ちゃんに依存している。

この関係は・・『鉄コン筋クリート』のクロとシロがぱっと思い浮かびました。

守っている側のようで実は守られている側。深いですね。

 

ちょっと気弱そうな理恵子ちゃんだけど、15年後くらいには肝っ玉かあちゃんになっていそうだな~とか思いながら映画を観ていたのですが・・

後にいろいろ調べていたら理恵子ちゃんを演じた土手理恵子さんは現在ご出産され育休中、とのこと。(2019年10月の情報)

我ながらそんなちょっと先のことを読めるとは・・って単なる偶然ですね。

でもこれから母親になる、そういう理恵子さんの強さを感じ取った、ってことはもしかしたらもしかしてあるかもしれませんね。

 

 

パチプロのお父さんだけあんみつなのはなぜだろう

 

基本的にみのりちゃんの周りにはちょっとクセがあってちょっとウザい人が多いんですが、みのりちゃんがバイトしている甘味処『不動茶屋』の常連客、パチプロで生計を立てているパチプロ父さんだけはごく普通の人でした。

みのりちゃんもこの人に対しては穏やかに接していたような。一緒に住む優しいおばあちゃんといる時、親友の理恵子ちゃんといる時以上に気を張らないナチュラルな印象でしたね。

 

この常連のパチプロ父さんが注文するのはのはいつもあんみつなんです。他のお客さんはみんな和風ラーメンを頼んでいるんですが。このお店は『甘味処なのにラーメンが美味しいと評判のお店』っぽく描かれています。

これはもしかして、このパチプロ父さんだけはみのりを、美人フィルターをかけずに内面で接しているって意味が込められているのな~なんて勝手に思いました。

深読みしすぎ・・??

 

 

個人的に好きなシーン!

 

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丸メガネをかけて俗っぽい話で盛り上がる、こちらも不動茶屋の常連、まゆみちゃん。

観察眼が鋭い明るめオタク女子って感じのしゃべり方、含んだ感じの笑い方とか、もうこのキャラだけでもモヤっとするところを刺激してきますね。桜さんうまいなぁ・・

お店が暇な時間にちょっとした寸劇が始まるんですが、思わず笑っちゃいました。

 あ~くだらないのに・・くやしいw

 この時もみのりちゃんは自分を貫いてますね~

 

 

 

 

 

舞台挨拶の様子

 

上映終了後、監督と出演者による舞台挨拶がありました。

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↑右から二ノ宮隆太郎監督、遠藤隆太さん、はぎの一さん、桜まゆみさん、植田萌さん、伊藤慶徳さん

 

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↑みんないい感じに笑顔のショットは・・ブレました。すみません・・
 

舞台挨拶でのやりとりをちょっと書いてみます。

 

お嬢ちゃんの脚本は”あて”なのか?

 

お嬢ちゃんの脚本は出演者にあてた脚本なのか?

二ノ宮監督の返答は『あて脚本ではない、あての人もいる』といった感じでしたが・・

その後ひとりずつ聞いていくとここにいる全員があて脚本であったことが判明。

心の中で突っ込んだお客さんは多かったでしょうw

監督のちょっととぼけた感じ?天然?緊張してる??どちらにしてもおもしろかったです。

この場にいない出演者はあてではなく元々の脚本があった方が多いのかもしれませんね。

 

 

ワンカットが長いゆえ(長いのに?)何テイクも撮ったそう

 

このお嬢ちゃんという作品、ワンシーンワンカットが本当に長い!

役によってはセリフがかなり膨大でしょうね。

美人とブスについて、カリスマ遠藤さんによる談義と寸劇が繰り広げられるこのシーン。

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途中で電車が通ってしまったり、監督のこだわりもあり十数回撮り直したそうです。

このシーンもおもしろいシーンですよね~

かなり理不尽ですけど・・w

 

お嬢ちゃんはノンフィクション部分も多い

 

この作品では出演者の名前がそのまま役名になっています。

作中で語られた、萌ちゃんの名前の由来は作られたものではなく事実だそう。みのりちゃんは違うみたいですが。

 

ちなみに後に調べていて判明したのは作中のみのりちゃんは父親が嫌いでしたが、実際萩野みのりさんは父親が大好きだそうです。(映画を観た後に知った事実、なんかちょっと安心・・)

萩野みのりさんが新体操をしていたのも背中の病気をしたのも作り話ではないそうです。

リアルすぎる会話のやり取りはこういったところも影響しているのかもしれませんね。

 

質問タイムがあったしフロントで交流もできた

 

舞台挨拶では観客からの質問タイムが設けられていました。

こんなときに『いい質問ですね~』という質問を颯爽とできるような気の利いた&肝の据わった人間になりたい!と思いつつ、できませんでしたw

そして終了後はフロントに監督&出演者が並んでいたのに、この後予定があった私はそそくさと出てきてしまった。

本当気が利きませんねぇ・・

ということでここで感想を書いてみた次第です。

 

今度ミニシアター系で舞台挨拶がある際は時間と気持ちに余裕を持っていこうと心に決めた私でした。

 

 

 

おわりに

 

いろいろとミニシアター感を満喫したこの日、帰りの電車が・・止まりました。

しかもちょっと止まったとかでなくヘビーなヤツでして、終電余裕だったのに乗換え駅の最終の電車の発車時間を1時間過ぎて到着。電車で出かけるなんて月1、2回なのについてない・・

4駅10キロ歩いて帰り、家に着いたのは夜中3時半・・次の日眠くてムダにしてしまった。

でも1時間以上止まっている電車の中でのみんなの怒りもしない諦めムード、私の前にいた男子大学生のまさに映画お嬢ちゃんに出てきそうなくだらない会話、自分が悪いわけじゃないのに申し訳なさそうにあやまる社内アナウンス・・

けっこう嫌いじゃなかったな。それはお嬢ちゃんを観た直後だったからかも。

絶望の真逆の位置にある、愛しいくだらぬ日々が描かれたお嬢ちゃん。

またのんびり観たいですね。

 

それではまた。